ミャンマーの野党党首アウンサンスーチー女史が24年振りに外遊。祖国での仕事を願いつつタイで働くミャンマー人全員に激励の言葉を送った。
AP通信によると、祖国に戻りたいと書いた看板を持ったミャンマー人労働者多数が、スーチー女史を歓迎するためサムットサーコーン県ムアン郡マハーチャイ区に集まった。女史は、今回の訪問の目的は、彼らミャンマー人の問題を知り支援する方法を知るためと語った。
「失望や落胆はしないでください。歴史は常に変わり続けます」と述べると同時に、その日女史はひとつの約束をした。「みなさんのために最善を尽くします」
スーチー女史は、本日夜に首都ヤングンからバンコクに移動し、次の目的地に行く前に、今朝サムットサーコーン県マハチャイを訪問した。ここはタイ国内で最も多くのミャンマー人労働者が住み、働いている場所のひとつである。女史は喜びの声とともに迎えられた。「スーチーお母さん万歳!」
7年前にカレン州から逃げてタイに来たミャンマー人、ソー・ハラー・トゥンさんは、塩袋の荷役作業をして生計を立てている。テレビと新聞でスーチー女史を見たことはあるが、今日その姿を見ることができて涙が止まらない、と彼は語った。
女史は、集まった数千人の人々に外国人労働者権利ネットワーク学習センターの4階から演説した後で、ミャンマー人労働者と会談した。彼らは労働法、権利、争議の法的措置に関する知識が不足しているため、雇用主から不適切な扱いを受けていることを女史に訴えた。
これからスーチー女史は一時ミャンマーに戻り、6月中旬からヨーロッパの5カ国を訪問する。初めはスイスのジュネーブに立ち寄り、国際労働機関の会議で演説し、ノルウェーのオスロで21年前に発表されたノーベル平和賞を受賞する予定。
その後、アイルランドのダブリンでは、スーチー女史への敬意を表すために開催されるコンサートで、有名ミュージシャンであるU2のボノと一緒に壇上に立ち、英国のロンドンでは庶民院と貴族院で演説し、6月19日は彼女の67歳の誕生日を次男のキム・ハリスと一緒に祝う予定。フランス外務省は、女史にフランスを訪問する予定があることを明らかにしている。
現在、タイには250万人のミャンマー人労働者がいる。そのほとんどが非熟練労働者であり、家政婦、繊維工場、漁船などで働いている。
マヒドン大学人口・社会研究所の専門家兼研究者アンディー・ホール氏によれば、100万人以上のミャンマー人労働者が、法律が定める正式な書類を持たずに国境を越えて働きに来ており、これはタイの全労働者の5-10%に相当する。この数字が意味するものは、違法労働者が100万人いて、タイのGDPの7%を占めるということである。
多くのミャンマー人労働者は利用され、賃金を低く抑えられており、人身売買の犠牲者や、雇用主にパスポートを取り上げられた者もいる。それと同時に祖国への仕送りはミャンマー経済にとって大事な収入源となっている。権利もなく、声も出せず、自分の権利のために争うこともできない者は、スーチー女史の訪問によって、自分たちの困窮に関心が集まるかもしれないと希望を持った。
缶詰工場で働いているミャンマー人女性、キン・ターン・ヌーさん(26歳)は次のように語った。いつも生まれ故郷のモン州に帰ることを夢見てた。父母と弟妹を捨ててタイに出稼ぎに来て、お金を家族に送っている。スーチーさんが政府を発展させ、雇用を生んでくれることを期待している。いつか家に戻ってそこで死ぬまで暮らしたい。